遠藤裕丈研究員 第51回(平成19年度)北海道開発局技術研究発表会で協会長賞を受賞 |
耐寒材料チームの遠藤裕丈研究員は、平成20年2月20日(水)〜21日(木)に札幌コンベンションセンター(札幌市白石区)で開催された「第51回(平成19年度)北海道開発局技術研究発表会」のカテゴリー「コスト」で論文発表を行い、協会長賞を受賞しました。 発表した論文は「表面含浸材を施工したコンクリートの塩化物イオンの拡散予測に関する基礎的検討」(共著者:田口史雄・小野俊博)です。 積雪寒冷地のコンクリート構造物は、凍害と塩害の複合劣化(以下:複合劣化と称す)を受けやすい厳しい環境下に曝されています。複合劣化を抑制する工法は、いくつか提案されていますが、その一つにシラン系表面含浸材(以下:シランと称す)による対策工があります。これは、コンクリート面にシランを塗布し、コンクリート表層の空隙の内壁面に撥水機能を有する疎水基を固着させ、外部からの水分や塩化物イオン(以下:Cl-と称す)の浸透を抑制することで、コンクリート部材の延命を図る工法です。 2007年4月には、北海道開発局道路設計要領に「道路橋での表面含浸材の適用にあたっての留意事項」が収録される等、規準類の整備も進められています。しかし、効果の持続性など耐久性に関しては、実績などを参考に大まかな評価がなされているのが現状で、合理的な耐久性照査技術の開発が求められています。
コンクリート表面近傍の極薄層に浸透しているCl-の蓄積量を算出し、極薄層の直下の層のCl-量をゼロと仮定して濃度分布を直線とみなし、この分布をFickの拡散方程式にあてはめ、残差平方和が最小となる係数を決定することで、吸水抑制層(シランが含浸している部分)のCl-拡散係数を簡易的に算出する考え方を提案しています。そして、この考え方によって、シランによるCl-の浸透抑制効果をかぶり増量効果に換算して解析的に評価したところ、本研究の範囲では、シランの種類によって異なりますが、等価かぶりは最大で約6cmであったことを述べています。さらに、北海道沿岸の増毛暴露実験場(増毛町)で暴露試験を行い、考え方の妥当性について検証を行っています。
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