下谷裕司研究員 土木学会平成19年度全国大会第62回年次学術講演会で優秀講演者表彰を受賞

 
  耐寒材料チームの下谷裕司研究員は、平成19912日(水)〜14日(金)に広島大学東広島キャンパスで開催された「土木学会平成19年度全国大会第62回年次学術講演会」の第5部門 セッション「再生コンクリート」で論文発表を行い、優秀講演者表彰を受賞しました。

発表した論文は「塩化物イオンを含む再生骨材の鉄筋コンクリートへの適用に関する検討」(共著者:吉田行・田口史雄)です。

再生骨材とは、コンクリート構造物を取り壊して製造される骨材であり、資源の有効利用の観点から、コンクリート用骨材としての利用範囲の拡大が求められています。

一方、積雪寒冷地のコンクリート構造物は、冬期に散布される塩化物系凍結防止剤の影響により、沿岸部だけでなく、内陸部に設置されている場合でも塩化物イオンを含有しているケースがあり、このようなコンクリートを取り壊して製造される再生骨材には塩化物イオンが残存している恐れがあります。

よって、積雪寒冷地において発生する再生骨材を鉄筋コンクリート構造物に適用するには、再生骨材に含まれる塩化物イオンがコンクリート中の鉄筋腐食に及ぼす影響を明らかにする必要があります。


 このため、本論文では、
塩化物イオン濃度の異なる再生骨材を使用した鉄筋コンクリート供試体について、鉄筋の促進腐食試験を実施した結果をまとめています。

促進腐食試験の結果塩化物イオン濃度の高い再生骨材を用いた供試体において、鉄筋腐食が顕著に発生していることが確認されました。また、腐食鉄筋を含んでいた供試体について塩化物イオンの分布を調べる分析を実施した結果、再生骨材中の塩化物イオンはコンクリート全体に拡散していることが確認されました。


 以上の結果より、再生骨材中の塩化物イオンはコンクリート中の鉄筋腐食に影響を及ぼすことが明らかとなりました。今後は再生骨材に含まれる発錆限界塩化物イオン量の特定や、再生骨材コンクリート中の鉄筋腐食の抑制対策等について、さらに検討を進めていく必要があります。


 なお本発表会では、全部門(共通セッション除く)
2,965編(内、第5部門610編)の論文が発表され、本論文を含む230編(内、第5部門44編)の論文講演者が優秀講演者表彰を受賞しています。