耐寒材料チームの中村拓郎研究員は,平成23年9月7日(水)〜9日(金)に愛媛大学城北キャンパスで開催された「平成23年度土木学会全国大会 第66回年次学術講演会」の第5部門セッション「ポンプ圧送・締固め」で論文発表を行い,優秀講演者表彰を受賞しました.
発表した論文は「PVA短繊維混入軽量コンクリートのポンプ圧送性と耐凍害性」(共著者:遠藤裕丈・田口史雄(耐寒材料チーム)・栗橋祐介(室蘭工業大学))です.
軽量コンクリートを使用した橋梁上部工等では,その死荷重が軽減し,下部工や基礎工の縮小等による経済効果や,慣性力軽減による耐震性向上効果が期待できます.また,これまでの研究から,軽量コンクリートにポリビニルアルコール(以下,PVA)短繊維を混入することによって,弱点であるせん断耐力等が一般的なコンクリートと同等以上になることが確認されています.
現場でのコンクリート打設にはポンプ圧送が広く利用されていますが,PVA短繊維を混入した軽量コンクリートをポンプ圧送する場合は,ポンパビリティーの低下や硬化後の耐凍害性の低下が懸念されます.本研究では,寒冷地におけるPVA短繊維混入軽量コンクリートの実用化に向けて,そのポンプ圧送性と圧送前後のコンクリート品質を検証しています.
この結果,PVA短繊維混入軽量コンクリートは,高炉スラグ微粉末や増粘剤を使用することで良好な品質を確保したポンプ圧送が可能であること,圧送後も十分な耐凍害性を有していることが確認され,寒冷地においてポンプ圧送を要する構造物に適用可能であることが示されました.
なお,本発表会では,全部門3,173編(内,第X部門597編)の論文が発表され,本論文を含む203編(内,第X部門39編)の論文講演者が優秀講演者表彰を受賞しています. |