1.凍結防止剤の鋼橋塗装への影響に関する研究
耐寒材料チーム(旧材料研究室)のこれまでの調査結果から、積雪寒冷地では、これまで塩害の腐食環境に区分されていない山間部や都市部の橋梁においても、冬期路面管理のために散布されている塩化物系の凍結防止剤により腐食環境にさらされていることが明らとなっています。この調査によると、海岸部のような一様な塩分供給環境ではなく、凍結防止剤やそれによる融雪水と接する部位に塩分が集中する特徴があります。そのため、これらの使用環境を考慮した鋼橋の塗り替え手法について検討する必要があります。
この研究では、塩化物系凍結防止剤の使用環境下における鋼橋塗装の合理的な塗り替え手法の提案を目的としています。
凍結防止剤の鋼橋塗装への影響に関する研究(参考資料)(pdfファイル)
2.凍結防止剤の耐候性鋼材への影響に関する研究
1で述べた状況は、耐候性鋼材を用いた橋梁にも共通しています。そのため、使用環境を考慮した耐候性鋼材の効率的な安定さび(保護性さび)化技術や部分塗装などの維持管理手法について検討する必要があります。
この研究では、塩化物系凍結防止剤の使用環境下における耐候性鋼材の効率的なな安定さび(保護性さび)化手法や部分塗装などの維持管理手法の提案を目的としています。
凍結防止剤の耐候性鋼材への影響に関する研究(参考資料)(pdfファイル)
3.積雪寒冷地における再生骨材コンクリートに関する研究
循環型社会形成のため、取り壊したコンクリート塊から製造した再生骨材の利用拡大が求められており、耐寒材料チーム(旧材料研究室)では、積雪寒冷地における無筋コンクリートへの適用を図り再生粗骨材の品質規格(案)を制定しました。さらに再生骨材の利用を拡大するには、鉄筋コンクリートに対しても適用の拡大を図る必要がありますが、積雪寒冷地においては、凍結防止剤の影響を受けたコンクリート構造物から再生した骨材が含まれる可能性があります。このような骨材を用いる場合には、再生骨材に含まれる塩分が鉄筋の腐食や凍結融解抵抗性に及ぼす影響について検討する必要があります。
この研究では、コンクリート再生骨材に含まれる塩分が鉄筋コンクリート構造物中の鉄筋腐食に及ぼす影響を明らかにし、再生骨材に含まれる塩分量に関する品質規格を制定することを目的としています。また、現場において再生骨材に含まれる塩分量を簡易に測定できる方法や、その使用の可否を判断するための基準についても検討します。
積雪寒冷地における再生骨材コンクリートに関する研究(参考資料)(pdfファイル)
4.ポーラスコンクリートの積雪寒冷地の適用に関する研究
ポーラスコンクリートとは、従来のコンクリートとは異なり、連続した空隙(くうげき)をもったお菓子の「おこし」のようなコンクリートです。この空隙の存在により排水性や吸音性が付与されたり、植生が可能となるなど環境にもやさしいコンクリートとして利用されています。しかし、その一方で空隙の存在により強度や凍結融解抵抗性が小さいため、耐寒材料チーム(旧材料研究室)ではこれまで積雪寒冷地での適用性に関する検討を行ってきました。
この研究では、積雪寒冷地での利用の観点から、積雪寒冷環境下においても自動車騒音低減などの沿道環境改善策のため、遮音壁などの道路付属物、面壁などの道路構造物や重交通箇所対応の排水性舗装に対して、高強度、高耐久性、高機能を有するポーラスコンクリートの技術活用について検討し、寒冷地に適した配合、構造、適用法の提案を目的としています。
ポーラスコンクリートの積雪寒冷地の適用に関する研究(参考資料)(pdfファイル)