当研究所
耐寒材料チームの田口史雄上席研究員は、室蘭工業大学に学位論文「短繊維混入吹付けコンクリートとアラミド繊維メッシュを併用した既設RC部材の補強法に関する実験的研究」を提出し、平成20年9月18日付けで博士(工学)の学位を授与されました.
本研究では、コンクリート構造物の補修補強のひとつとして、急結材やポリマーを含まない
のり面用湿式吹付けコンクリートを基本配合としたポリビニルアルコール(PVA)短繊維混入吹付けコンクリートとアラミド繊維メッシュ(AFRPm)を併用した補強法を開発するため、吹付けコンクリートの施工性、耐久性、力学特性と本補強法を用いたRC梁や版に関する補強効果を実験的に検討しています.
その結果、付着性状やはね返り率等に優れた合理的施工法の確立ならびに中空微小球混入による凍結融解抵抗性の向上、PVA短繊維混入による引張じん性能向上等の定量的評価などを行い、良好な品質を確保した配合法を提案しています.
また、RC梁のせん断および曲げ補強効果、RC版の押抜きせん断補強効果に関して、AFRPm補強量や短繊維混入率等を変化させた静載荷実験を行い、本研究で提案している設計法による耐力増分やはく離予測の計算結果と比較して、その妥当性を検証しています.
本工法は現在までに3現場で実用化されており、建設コストで数パーセント、工期で十数パーセントのコスト・工期縮減効果が得られています.
今後、現場条件に応じて同工法を採用することで、合理的にコンクリート構造物の補修補強が可能となることが期待されます.
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